火災報知器の誤作動が何度も起きるなら要注意|感知器は「部分交換」か「全数交換」か、判断基準と費用の考え方を解説

はじめに


「また鳴った。今月に入ってこれで3回目だ」——工場長様、施設管理者様、店舗のオーナー様。現場を確認しても火の気はなく、受信機の表示を見て復旧ボタンを押す。そんな対応を繰り返していないでしょうか。


以前、当ブログでは火災報知器の「誤作動」原因トップ3と現場でできる恒久対策をご紹介しました。今回はその一歩先、「誤作動が何度も繰り返される段階に入った建物」に絞ってお話しします。


このとき管理者様が必ず直面するのが、「鳴った1個だけ交換して様子を見るか、この際まとめて全部交換するか」という判断です。ここを間違えると、費用も手間も余計にかかることになります。



1. 誤作動が「何度も」起きるとき、原因は1個の感知器ではない

まず押さえていただきたいのは、単発の誤作動と、繰り返す誤作動はまったく別の問題だということです。


単発であれば、その場所固有の原因——蒸気、結露、粉じん、虫の侵入、機械の排熱など——を疑うのが筋です。しかし短期間に複数箇所で起きているなら、話は変わります。


理由はシンプルで、同じ建物の感知器は、たいてい同じ時期に、同じ職人が、同じ製品で設置しているからです。つまり、同じ環境で同じだけ歳を取っています。1個が誤作動を起こす状態になっているということは、他の感知器も同じ状態に近づいていると考えるのが自然なのです。


実際、「不良が出た1個だけ交換」を続けた結果、数か月おきに別の場所で鳴り、そのたびに業者を呼び、そのたびに費用が発生する——という状態に陥っている建物を、私たちは何件も見てきました。



2. 感知器・受信機の交換時期の目安

自動火災報知設備の機器には、法定の耐用年数こそ定められていませんが、業界団体である一般社団法人 日本火災報知機工業会が、実際に交換された機器の調査データをもとに更新時期の目安を示しています。


  • 煙式感知器:約10年
  • 熱式感知器(半導体式):約10年
  • 熱式感知器:約15年
  • 受信機:約15年(電子機器部品を多用していないものは約20年)
  • 発信機:約20年
  • 地区音響装置(ベル):約20年


※出典:一般社団法人 日本火災報知機工業会「既設の自動火災報知設備機器の更新について」


ここで注意したいのは、これはあくまで「適切に点検され、設置環境に支障がない場合」の目安だという点です。粉じんの多い工場、油煙のかかる厨房まわり、温度差の激しい倉庫、湿気のこもる場所などでは、この年数より早く不具合が出ることは珍しくありません。


あわせて確認しておきたいのが「型式失効」です。古い規格の機器の中には、制度上すでに交換が必要になっているものがあります。設置から20年、30年が経過している建物では、この可能性も含めて確認が必要です。



3.「部分交換」と「全数交換」、どちらを選ぶべきか


部分交換で十分なケース


  • 設置からの年数がまだ浅い(おおむね10年未満)
  • 特定の1か所だけに、明確な環境要因(蒸気・結露・排熱など)がある
  • 増築部分など、その箇所だけ設置時期や機種が異なる


この場合は、原因となっている環境そのものへの対策(感知器の種別変更や設置位置の見直し)とあわせて、部分的な交換で対応するのが合理的です。


全数交換を検討すべきケース


  • 設置から10年以上が経過し、複数箇所で誤作動や不良が出ている
  • 点検報告書に、毎回のように同じ内容の「不良」が並んでいる
  • メーカーの部品供給が終了しており、修理では対応できない
  • 受信機も同じ時期の設置で、更新目安を超えている


特に4つ目は重要です。感知器だけ新しくしても、それを受ける受信機が寿命を迎えていれば、結局は数年後に再び工事が必要になります。受信機の更新目安を超えている建物では、感知器と受信機をまとめて更新したほうが、結果的に総額を抑えられるケースが多くあります。



4. 費用は「1個いくら」ではなく「1回いくら」で考える

交換費用を検討される際、多くの方が「感知器1個あたりの単価」を気にされます。しかし実際の工事費用を左右するのは、機器代よりも作業に付随するコストです。


  • 天井が高い場所での高所作業(脚立・足場・高所作業車の要否)
  • 営業時間外・夜間・休日に作業する場合の調整費
  • 生産ラインや店舗を止める時間の確保
  • 交換後の試験と、点検結果報告書の作成


これらは「1回現場に入るごと」に発生する費用です。だからこそ、都度対応を5回繰り返すより、1回でまとめて交換したほうが総額は下がりやすい。加えて、そのたびにラインを止める機会損失も避けられます。


もうひとつ見落とされがちなのが、予算化のしやすさです。突発的な修理費は稟議も通しにくく、経理上も扱いに困ります。一方で「今期に設備更新を行う」と計画できれば、金額が大きくても社内の合意は得やすくなります。


なお、具体的な費用は建物の規模、感知器の設置個数、天井の高さ、配線の状況によって大きく変わります。金額の目安をお求めの場合は、現地を確認したうえでお見積もりをお出しします。



5. 誤作動を放置すると、何が起きるのか

「どうせ誤作動だから」という空気が定着したとき、本当に怖いのは金額の話ではありません。


まず、ベルを止めたまま復旧させない運用が常態化することです。地区音響停止スイッチを入れっぱなしにしていると、いざ本物の火災が起きたときにベルが鳴りません。この点については「地区音響停止」の正しい使い方と放置の危険性で詳しく解説しています。


そしてもうひとつが、従業員の方々が警報に反応しなくなることです。「またか」が続けば、人は動かなくなります。設備は正常に鳴ったのに誰も避難しなかった、という事態は現実に起こり得ます。


消防機関へ通報する火災報知設備が連動している施設では、誤報のたびに消防車が出動することにもなりかねません。


まとめ


  • 誤作動が繰り返し起きているなら、原因は1個の感知器ではなく設備全体の経年である可能性が高い
  • 更新の目安は、煙式感知器で約10年、熱式感知器で約10〜15年、受信機で約15〜20年
  • 設置から10年以上かつ複数箇所で不良が出ているなら、全数交換の検討段階に入っている
  • 費用は「1個いくら」ではなく「1回現場に入るごと」で考えると判断を誤りにくい
  • 誤作動の放置は、ベルを止める運用の常態化という最も危険な状態を招く


福島県内で火災報知器の誤作動にお困りの方へ


有限会社矢吹防災センターは、福島県西白河郡矢吹町を拠点に、福島県全域・宮城県・神奈川県で消防設備の点検から工事まで一貫して対応しております。工場・倉庫・学校・福祉施設・店舗など、30年以上にわたりさまざまな用途の建物に携わってまいりました。


実際に、誤作動のご相談をきっかけに現地を確認し、設備全体の経年を踏まえて感知器を全数交換、その後の定期点検までお任せいただいているお客様もいらっしゃいます。


「毎回同じ場所が鳴る」「点検のたびに不良と言われるが、直したほうがいいのか分からない」——そんな段階のご相談で構いません。現地を確認したうえで、部分交換で足りるのか、更新を検討すべきなのかを正直にお伝えします。


ご相談・お見積もりは無料です。


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